半導体2工場に3.2兆円、大学運営費に1兆円

大学の科学技術の質が劣化している。論文の被引用数(各分野上位10%)の国別順位が、4位から13位に落ちて、G7では最下位だ。国立大学が法人化されてから20年経ったが、国から配られる運営費交付金は大きく減り続けている。2022年度の運営費交付金総額は1兆675億円だ。人件費を抑えるために任期付教員が増え、教員の3分の1に達している。職務時間のうち研究活動が占める割合は、国立大で2002年には50%だったが、2018年には40%に減少した。金沢大学は、トイレ改修のためクラウドファンディングをする始末だ。一方政府は、熊本のTSMC半導体工場に1.2兆円も支出する。まだどこでも実現していない2nm半導体の生産を目指すラピダスへは2兆円も補助する。そもそも国策会社はエルピーダメモリしかり日本ディスプレイしかり、成功した試しが無い。半導体の2工場に3.2兆円、大学運営費に1兆円では、いくら半導体が産業の米と言っても、余りにもバランスを欠いている。科学技術予算には各国が力を注いでいる。このままでは、日本が科学技術の後進国に陥るのは間違いない。

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長嶋茂雄:財団設立の謎

「長嶋茂雄一般財団法人」が昨年5月に設立された。長嶋本人は、2022年に自宅で転倒した際に脳出血を起こし、救急車で搬送され、それ以来入院生活をしている。とは言っても、時々イベントに顔を出しているから、病状が深刻というわけではなさそうだ。リハビリもあるから、自宅よりも病院の方が暮らし易いのだろう。「長嶋茂雄一般財団法人」の登記簿には、所在地は大田区田園調布の自宅、設立の目的は「野球を主体に広くスポーツ全般への競技の普及、振興」とあり、そのために、競技力向上や、健康増進を図ることなどを目的とした事業を行うと記されている。でも、ミスターの名を冠した野球イベントなどを開催する事業を行なった形跡は無い。長嶋は、金銭はもちろんトロフィーなど価値あるものをたくさん保有している。それを財団に拠出することで、自身の財産を有効に管理、活用し、将来にわたって散逸を防ぐことが目的なのだろう。また、相続税対策にもなる。そう言えば、かつて一茂が父の記念品を勝手に売却しまくったとのニュースがあった。恐らく、財団の設立は、一茂からのプロテクトと、一茂を除く3人の子どものための相続税対策なのだろう。若い頃は野球のことしか頭に無かった長嶋も、野球以外のことを考えなければならなくなってしまったのだろう。

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仏の新幹線TGVが超混んでいる

仏の新幹線TGVの慢性的な混雑が深刻になっているという。乗客が増えているのは、地球温暖化対策への意識が高まり、温室効果ガスの排出量が少ない鉄道を選ぶからだ。EUは温暖化対策として鉄道を重視しており、今後10年間で域内の高速路線を2倍に拡大する目標を立てている。ところが、TGVを利用したい人の2割が座席予約を取れず利用を諦めていると推定されている。TGVの車両が足りないのだ。原因は2つある。1つは、仏アルストム社が製造するTGV―Mと呼ばれる新型車両の工期の遅れだ。新型車両は革新的な蓄電装置を備え、へき地で電力供給が停止した時などに、数十キロ離れた駅まで照明や空調を維持したまま、低速走行できる性能が加えられた。だが、製造に手間取っている。技術が地に着いていないのだ。もう1つは、仏国鉄の判断ミス。2010年代に耐用年数に満たないTGV100編成を廃棄処分にしてしまったのだ。格安航空会社やバスが主流になると見間違ったからだ。仏国鉄は仕方なくTGVの耐用年数を従来の30年から40年以上に延長する方針で、需要増に応えられる車両の確保に躍起になっているとのこと。一方日本では原発の運転期間を40年から60年以上に変更してしまった。どちらも事故を起さないと良いのだが。

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いなば食品とビッグモーター

ヤクルトが大谷の移籍に伴いドジャースタジアムにも看板を設置した。金額はエンゼルスと較べるとケタ外れらしい。そして何とあの「CIAOちゅ~る」のいなば食品もドジャースタジアムにスポンサーとして進出した。「CIAOちゅ~る」が空前の大ヒットとなり、売り上げが倍増する勢いとのこと。ところが、いなば食品の醜聞が絶えない。今春の一般職採用の新入社員19人のうち少なくとも17人が入社を辞退する異常事態になっていると週刊文春が伝えている。入社直前になって、募集要項に明記してあった額よりも3万円も少ない額を提示されたという。真新しい社員寮のはずがボロ家で共同生活を強いられたという。いなば食品は募集要項に記載してあるのは総合職で一般職ではないといい加減な弁解をしている。また、保健所からの正式な許可がない状態で2カ月操業していたことがバレてしまった。明らかに食品衛生法違反だ。諸悪の根源は、女帝が支配する未上場の同族会社だからだ。女帝の胸先三寸で、パワハラも珍ルールもルール変更も思いのまま。はて、何処かで聞いたことがあるぞ。そー、まさにビッグモーターの副社長とソックリだ。同族会社が大きくなり過ぎると、ろくすっぽな会社になる典型例と言えそうだ。

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藤原定家の顕注密勘

藤原定家が自筆した古今和歌集の注釈書「顕注密勘」の原本が見つかったとのこと。定家の子孫である冷泉家で保管する木箱を約130年ぶりに開けたところ、収められていたという。原本が収められていたことで、和歌の奥義を伝承する「古今伝授箱」であることが判明した。歴代当主が一生に一度だけ開け、秘伝を継承してきたとされているものだ。顕注密勘は、古今和歌集について和歌の先人による注釈に、定家が自説を書き加えている。記述の訂正や紙を足して書き加えるなど、写本では分からなかった定家の推敲の跡も確認されたのは大収穫だ。定家の思考が直接的にうかがえる貴重な史料と位置付けられる。因みに、日本の国歌「君が代」の歌詞の源流は、古今和歌集に収められた読み人知らずの賀歌「我が君は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」だ。何とも重さを感じる。定家は、新古今和歌集を編纂した。新古今和歌集は、それまでに編纂された万葉集と古今和歌集と六代集に載っていない和歌を拾ったもの。それ以前の和歌に精通した上で、新古今和歌集を編纂したことがヒシヒシと伝わってくる。

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