藤原定家の顕注密勘

藤原定家が自筆した古今和歌集の注釈書「顕注密勘」の原本が見つかったとのこと。定家の子孫である冷泉家で保管する木箱を約130年ぶりに開けたところ、収められていたという。原本が収められていたことで、和歌の奥義を伝承する「古今伝授箱」であることが判明した。歴代当主が一生に一度だけ開け、秘伝を継承してきたとされているものだ。顕注密勘は、古今和歌集について和歌の先人による注釈に、定家が自説を書き加えている。記述の訂正や紙を足して書き加えるなど、写本では分からなかった定家の推敲の跡も確認されたのは大収穫だ。定家の思考が直接的にうかがえる貴重な史料と位置付けられる。因みに、日本の国歌「君が代」の歌詞の源流は、古今和歌集に収められた読み人知らずの賀歌「我が君は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」だ。何とも重さを感じる。定家は、新古今和歌集を編纂した。新古今和歌集は、それまでに編纂された万葉集と古今和歌集と六代集に載っていない和歌を拾ったもの。それ以前の和歌に精通した上で、新古今和歌集を編纂したことがヒシヒシと伝わってくる。