新薬の7割が日本で治療に使えない

日本の医薬品市場の規模は、米国、中国に次ぎ世界3位の位置にある。だが一方で、世界で生まれる画期的な新薬の7割が日本で治療に使えない事態に陥っている。薬の実用化に必要な臨床試験が、国際共同治験の対象国から外され、日本人への安全性と有効性が確認出来ないからだ。外される理由は、2つある。厚労省の大病院民営化・法人化政策と国民皆保険制度だ。医療費削減政策により民営化し、日本の医療施設は規模が小さく、非効率で手間がかかり、コストも高くなってしまった。結局、世界は日本を選択するメリットが無いと判断してしまうのだ。また国民皆保険があるため、安全性への根強い不安もあり、日本では治験に参加したいという患者が少ないのだ。一方欧米は保険の未加入者が多く、治験は高額となる高度医療を無料で受けるための一つの手段とみなす傾向がある。治験後進国の日本を世界レベルに引き上げるためには、全国に大規模公営病院を最低10カ所ほど創設し、医療技術の核とすべきだと思う。医療費削減のため、全ての病院を民営化してしまっては、助かる命も助からなくなるのは目に見えている。厚労省の政策失敗例の1つだといえる。